第27弾「オトギーク」ストーリー

第27弾「オトギーク」ストーリー

昼は熱く夜は寒い水星は肉体と 精神を極める修行僧の集まる惑星だった。

星全体が巨大な道場となっており、 修行を極めると護符で屍を操る技など様々な術が身につくという。

水星を統治するものは師範代であり、公平なる技の競い合いで決められる。

前回の最終戦では【因子浦士丸】と 【亀頭師】が戦った末、【因子浦士丸】が師範代となった。

今後数年間は師範代の座はかわらない。

屈辱的な思いを胸に抱いていた【亀頭師】は、 いつしか暗殺計画を企てる。師範代が亡くなれば 副師範代である自分が師範代に格上げされるからだ。

計画を考えながら散歩していた【亀頭師】の耳に 「誰か助けて~目が回る~」と女性の声が聞こえてきた。

周囲を見渡しても誰もいない。「???」気のせいかと思い通り過ぎると…

「下!足元のネコを見て!」

【亀頭師】が下を向くとネコが玉でじゃれて遊んでいるではないか。

「ネコがしゃべった!?」

「違うわよ!玉の中にいるの!そもそも、あなただって亀じゃないのよ!」

助けを求めていたのは<水の玉>に生息する【音姫】であった。 【亀頭師】が玉を拾うと【音姫】は感謝を述べる。

「ありがとう。私は音姫!地球という星からやって来・・・あれ?ちょっとどこに仕舞うつもり!?」

「おぉぉぉ!この玉を握るとパワーがみなぎる。修行などせぬとも術を習得できるほどの効力だ!これは暗殺計画に使えるな!」

そう言うと【亀頭師】は自分の下半身がしまってある甲羅に<水の玉>をしまい込んだ。

「こんな汚い箇所に仕舞わないでよぉぉ!!!!」

叫ぶ【音姫】であったが甲羅で声が外に届かない。

そのころ道場では、次の師範代を目指すべく 【因子盲道士】【因子芳一刀斎】が修行に励んでいた。

「ふふふワイの一刀斬りにはかなわないぞ!次の師範代はもらったな盲道士!」

「いやいや、私達の他にも実力者である亀頭師さんがいますからね。油断できません!」

あらゆる術をや技を修行で習得して後生に残すことが水星でのルール。 師範代を目指すことは、この星の住民にとっては当たり前。

「失礼します~このたび道場でメイドとして雇われることのなりましたマーメイドです」

修行に励む2人の前に突如として現れた女の子【マーメイド】。

「この区間は女人禁制のはず。女子は修行区間が別ではないか?」

「修行僧の皆様におもてなしするよう頼まれましたの。」

「硬いことを申すな盲道士!ほらこっちにきなさい。どのようなサービスか可能なのかな?」

鼻の下をのばす【因子芳一刀斎】。 そこにもう1人のメイド姿の女性が現れる。

「失礼しま~す。このたびメイド修行対決しにきましたオトヒメイドともうします。」

そこに現れたのは<水の玉>に生息する 【音姫】が変身した姿である【オトヒメイド】。

一見すると現実に存在するようだが、 昔に母である【マリン】が使っていたホログラム投影を使い玉から光を放出して 実物のように見せているだけである。

「あらあら、この粗茶はマーメイドちゃんが出したのかしら?変な味がするようだけれど?」

もちろん【音姫】はホログラムなので茶は飲めない。しかし【亀頭師】とずっと一緒にいるため、 暗殺計画の手口をすべて把握しているのだった。

「こ、これは毒ではないか!」

【因子盲道士】が気が付いた時には、すでに時は遅し! 【因子一刀斎】は茶を飲んだあとである。

「一刀斎よ我がしもべとして盲道士を攻撃するのよ!」

突如【マーメイド】が強い口調で命令を下しながら【因子一刀斎】の額に護符を貼る。 毒が回ると仮死状態となるため屍と同じくコントロールすることが可能となるようだ。

「やめるんだ一刀斎!」

苦戦する【因子盲道士】。このとき【音姫】は以前の竜宮城事件を思い返していた。 過去の二の前を繰り返すことになるのか?

「まだまだ修行がたりぬな!2人とも!」

危機一髪と思われたそのとき師範代である【因子浦士丸】が訪れる。 その姿は、かつての【ムーンウラシマ】そのもの。

なんの因果か似た容姿の彼を助けようとした【音姫】は逆に救われることとなったわけだ。

「一刀斎は女に弱すぎる!盲道士は優しすぎだ!そして亀頭師!お前の変身などお見通しだ!」

【因子浦士丸】がそう言い放ち 【マーメイド】を杖で殴打すると中から【亀頭師】が現れる。

「くそー!なぜバレたんだ?」

「お前はこの部屋に入る直前に変身したかもしれないが、 後ろからずっとメイド服の女性がついてきてたから否が応でもでも目立つだろう?」

【亀頭師】は副師範代なのでうろついても怪しまれないが、 後ろからホログラム化した【オトヒメイド】がついてきていたため、 道場で見かけた修行僧からは目立ってしまったようだ。

なにせここに区域は女人禁制。

そのまま噂は師範代である【因子浦士丸】に伝わったという。 こうして【亀頭師】の暗殺計画は失敗におわる。

実力者ではあったが他人の足を引っ張る思想が災いした結果だ。

また修行僧も自分たちの甘さを思い知る結果となった。 なにはともあれ【音姫】にとっては、過去のような悲惨な状態を見なくてすんで一安心である。

<水の玉>は【因子浦士丸】が保管し、 【宇宙空母クラウド】が水星に到着したときに返却された。

すべての問題は【音姫】により解決済みであったそうだ。

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