第28弾「オトギーク」ストーリー

第28弾「オトギーク」ストーリー

雷が鳴り響く金星は【雷光】という老人が権力を握る。

ギャンブル好きで跡継ぎをレースで決める【雷光】だったが優勝賞品の 【雷光の剣】に<金の玉>が装飾されていることを目撃したクラウド乗組員達。

今は予選を通過した最終レースの段階らしく、 【ムーンキンタ】とそっくりな容姿の【因子金時】と、 大酒飲みの【飲酒運呑童子】が直接対決することが決まっている。

こうなると優勝したものに交渉して<金の玉>を譲ってもらわなければならない。

しかし【飲酒運呑童子】が運転する自動車【ロールスライス】は、 ありとあらゆる改造が仕掛けられている。

そのうえ普段から酔っ払い運転で事故が多発しているという。

この星においてはレース展開が面白くなれば何でもありらしいので、 飲酒運転だろうと暴力による脅しなどもはびこってしまう。

近頃、星の住民たちも事故を警戒して外出は控えているらしい。

そしてなによりも、今の統治ルールよりも 最悪になるか最善になるかは優勝者にかかっているというわけだ。

「どう考えても金時を応援すべきだろう!」

間髪いれずに【白雪戦姫】が言い放つ。

「たしかに交渉するには、そのほうが賢明だろうね」

【サンヒミコ】も同意するが、【ウッド王子】は心配のようだ。

「レースする乗り物が自動車じゃないんだよ?勝てるの?」

実のところ【因子金時】がレースで乗るのは【クマゾ】という熊である。 自動車と動物では勝ち目がないと思われるのも当然だ。

しかし最終レースまで勝ち残ったのも事実。 そこを調査しに向かうことにした。

【因子金時】は山で熊などの動物たちと 育ったため身体能力も高く力持ち。

とくに相撲の稽古を毎日つけてくれた【クマゾ】は 自動車のように背中に乗って走ってきたとのこと。

「お尻を叩くとスピードが上がるんだが、最近は限界値のようなんだ。」

困惑する【因子金時】。どうやら熊の【クマゾ】は ドMらしく、叩かれた快感で足が速くなるらしい。

周囲の妨害が厳しいほどに感じてもう突進できるが、 その快楽に慣れてしまったようで、これ以上の向上力は見込めない。

「なるほどね~よし!私に考えがある!当日楽しみにしてな!熊!」

と【白雪戦姫】は自信気に【クマゾ】を励ます。 このとき人ではなく熊にたいして言葉を投げかけていたことに気が付く人はいなかった。

いよいよレース当日。 この勝負に勝った方が商品と権力の座を射止めることができる。

「スタート!」

ゴロゴロ!ピシャーン!

【雷光】がスタートの合図として雷を落とす。 【ロールスライス】の車輪から出刃包丁が飛び出してきた。

しかし【クマゾ】にとって、 そんな斬りつけなど快感にしかならなく恐怖にすらならない。

続いて排気ガスを浴びせると同時に煙幕攻撃をしかけてきたが、 【クマゾ】にとって相撲で汗まみれの臭いになれているため気にならなく全部吸い込んでしまった。

「凄い凄い!」

白熱のレース展開に【地底女王蟻巣】も無邪気に喜ぶ。 しかしなかなか相手を追い越すことができない【因子金時】。

それもそのはず【クマゾ】はマゾなため 相手の攻撃を受けたがっているので、 なかなかゴールをしたがらないのであった。

もはや小さいころから一緒の【因子金時】では興奮も感じない。

「さぁ~て私の出番だね!熊!女王様とお呼び!」

ゴール近くで待ち構えていた【白雪戦姫】は、 得意のムチ裁きで【クマゾ】の尻を 容赦なく叩き始めた!

パチーン!

新しい刺激!むさくるしい男ではなく女性からの罵声とムチ打ち! しかも一国の姫であるというギャップがドM心に灯をともす!

「ぐもぉぉぉぉ!」

もう突進のすえ【クマゾ】がいっきに追い上げてレースを勝した!

【因子金時】は優勝し、 【雷光の剣】の飾りである<金の玉>を無事に受けとることができたのであった。

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