2017年10月26日:データ分析をしながら自作シールを作るということ!

「oha巫女キョンシーズ」はキョンシーの素材違いがたくさんあるわけですが、これは今後のデータ分析をするために必要なのですね。

 

同じ絵柄でも素材が違うことで、まったく違う印象になるという部分や、どのカラーリングを組み合わせて作ればいいのかという分析をするためには印刷して比較しなければ誰にもわかりません。

 

まず上記画像「蟻地獄跳屍」の金アルミ&銀アルミを比較してみましょう。上下の素材違いは誰でもわかります。しかし左右の違いは、パッと見ではわかりにくいですよね。

 

左はメタリック(下地に白印刷ナシ)で、右は白印刷アリなバージョンなのですが、拡大画像を見てわかるように違いがほぼありません。

 

なぜだかわかりますか?これは下地の素材が明るい場合は、その上にのる印刷カラーが暗い色味であると白印刷がなくても目が錯覚して大差なく感じてしまうためです。

 

「色の三原色」の法則からして一番暗い色は「黒」なわけですが、黒色は下地の白がなくても透けません。

そのため絵柄キャラクターの線を黒縁で太くするのは白印刷がズレるのを防ぐためであるというのは、ブログで説明したとおりです。

 

つまり暗い色に近いほど白印刷は透けにくく、また下地素材が明るいと白印刷の代用になり目が錯覚して、下地の白が判別しにくくなるのですね。

 

スモークを貼ったような効果が得られる

先ほどの解説をより理解しやすくするための資料がこちらの画像です。(アルミは光を反射するため撮影が見にくいですがご了承ください。)

 

上段「鳥顔跳屍」の紫アルミだと下地が暗いため白印刷のアリorナシの対比が、はっきりとわかります。ようするに白がない場合は、暗い色同士が同化してしまうのでスモークを貼ったような効果が得られるわけです。

 

逆に下段の「木乃伊跳屍」金アルミは、キャラクターのカラーリングそのものに白が使われているため左右の違いは歴然とします。しかし白い箇所以外は、比較したときに大差ありません。(服装の色や包帯の間から見える顔の色など。)

 

アルミ素材によって原材料価格(原価)も異なり

ちなみに、アルミ素材によって原材料価格(原価)も異なり、銀が安価で紫が高価です。【銀<金<<紫】このぐらい違います。

 

80年代のシール&カードで紫アルミがあまり使われないのは高価という理由の他にも、トンボ線(裁断するアタリ)が見にくくなるなどがあげられるでしょう。

 

実際に作って対比することで当時の制作状況がみえてきます。

 

また素材のカラーは自分で作る事も可能ですが(じゃん拳法の緑アルミなどは色を自分で作っています)インク代がかかるのでさらに高価となります。

 

これはプリズムも同様で、元素材に色がついているものを使うか、自作で色素材を作るかで原価が全然違ってくるのですね。

 

こういうのも自分で印刷してみないとわからない箇所だと思います。例えば黒プリズムは黒色では透けないため黒プリにはなりません。実際に色を作るさいは違う色だったりします。

 

つまり1つ1つ作りながらデータ分析を蓄積していくことが大切なわけです。キョンシーのバージョンが数種類あるのは資料性としての意味合いも高いというわけですね。

 

カラーの組み合わせを疑似イメージすることも大切

さらに細かい事ですが「色の三原色」を頭にいれながら素材色とキャラクターカラーの組み合わせを疑似イメージすることも大切です。

「美男跳屍」の銀アルミは、メタリック(白印刷ナシ)と白印刷アリで大差ありませんが、金アルミになると、カラーリングが青から緑に変化します。

 

これは素材が金(黄に近い色)なため、白印刷をしないで「青」を透けさせると色が混ざって「緑」に見えるからです。実際に「緑」は一切使用しておりませんが、目が錯覚をおこして「緑」に見えるというわけです。

 

キラプリズムなどで部分的に白印刷を抜いて光らせるという技術が使われますが、これも同じことで下地素材の色と印刷カラーの混合を考えないと目の錯覚を起こして違う色に見えてしまいます。

 

キラプリズムは光の反射が強いのでアルミとは見え方が異なりますが、三原色は白印刷を抜いたときにも適応されるわけです。

 

これを印刷前にイメージしながら作ることで技術の幅が広がるのですね。

 

素材のみの資料などはたくさんありますが、こういう印刷後の資料データというものは、あまり存在しません。

 

実際に印刷した感じを知るために毎回印刷所に発注するということは金額的に不可能に近いでしょうけれど、ハンドメイドであればこうしたデータベースを蓄積することが可能なわけです。

 

白印刷は高い

結果がわかっていれば、印刷所で印刷する際の目安にもなりますし、白印刷を抜きで印刷することで費用対効果をおさえたシリーズをリリースすることも視野にいれられます。

 

例えば、販売価格50円~台の超低価格帯でオモチャを作りたいが、ノーマル素材の他に、キラやアルミなどの特殊素材を使いたいときなどには効果を発揮します。

 

なぜなら白印刷は高いからです。(笑)白だけで1枚10円ぐらい原価が違ってきますから。。。

 

高価格帯と中価格帯と低価格帯では意識しなければならない方向性が違います。マーケティングから作り方や予算まで、すべてが異なるわけで、企画の段階でどうするかをあらかじめ考えておかないとなりません。

 

また、目的意識や先々の計画性によってもリリースする順番があるでしょう。

 

顧客データも必要

他には市場に出してどれが受け入れられるのかという顧客データも必要になってきます。例えば~

 

・金銀紫アルミではどれが人気なのか?
・メタリックと白印刷アリではどちらが人気なのか?
・全キョンシーの中ではどれが人気なのか?

 

こうした項目に回答できる資料は、今のところ世にありません。しかし今回のデータ蓄積により把握でき、今後の作品に活かすことができるわけです。

 

本来ならば素材違いやバージョン違いは、大変なのであまりやりたくはないのですが、作ってほしいという需要があるのと、今回説明したようにデータを蓄積して分析しなければならないため、どこかのタイミングで必ずやらなければならないのです。

 

一番大切な事は、Zineen作品を集めていただいている人々に、よりいっそう楽しんでいただくことです。

 

それが全てであり、作り手として一番最初に考えなければいけないことなのです。

 

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