フィギュアについての費用対効果とマーケティング分析をしてみました。
製作におけるコスト表というものを作って計算しながら作品を作り、原価を割り出してから量産(シールもフィギュアも)しているのですが、
どうもフィギュアの原価と実際にかかる制作費(材料代)が釣り合わないのです。「おかしいな~~」と思い、丸一日かけて材料費などのコスト表を調査しなおしたら…
この4年で材料費が20%高騰してやんの!(汗)
型取りのシリコンって時価だから値上げや値下げが頻繁におこりますが、その他の材料も値上がりしてました。
まぁ、日本の政府が経済成長を2%上げることを政策目標にしているため、インフラで物価が上昇していくことはわかってはいるのですが・・・
それにしても政策じゃなく製作のダメージが大きいんじゃい!と、ぶつけようがない怒りをぶつけてみたわけですが、暗いと不平を言うよりも進んで明かりをつけましょうって事で計算しなおしました。
◆販売手法をどうするのか?
販売の仕方で作る数や労力も変わってきます。
主な売り方は次の3つに分類されるでしょう。
【予約販売】
受注生産だから一定期間募集をかけて締め切り後に注文数を作るやり方。メリットはリスクが少ない。
デメリットは注文が多すぎても時間がかかるし、締め切りまで量産ができないため時間管理がしにくい。
【数量販売】
逆に一定数の数を作っておいて売り切るやり方。
自分の時間内で作れるので、後々忙しくならないですむのがメリット。試作品の時点で少数を作り販売すれば時短になる。
【限定販売】
再販しないやり方。予約だと期間で縛り、数量だと数で縛る。
瞬発力があるので売れやすいのと後々のプレミア感はつきやすい。(転売屋も発生しやすい)長期戦略には不向き。短期向き。
うちは「再販あり」or「再販なし」は使い分けています。
長期戦略商品と短期戦略商品ではマーケティングが違うので。
シールに関しては、企画で戦略を変更したりと自由度が高いのですが、フィギュアは初期コストが凄くかかるので、「予約or数量」どちらがよいか悩みどころ。
◆プロ造形師がワンフェスで販売するさいの原価と売上と純利益
いろいろリサーチしてみたら、プロの造形師がワンフェスで販売するさいの原価と時間のコスト表を公開しているブログを発見。
というのが、この方(プロ)の数字らしいですね。
一般的には20個ぐらいが相場で、超一流プロの作品で40個とかみたいです。(ワンフェスの場合)
ちなみに抜き業者(複製業者)に頼んだ場合だと次の結果になるとのこと。
めっちゃ損してるじゃん!
まぁ、わかってはいますが業者抜きは高いのです。
ソールドアウトで売り切ってもマイナスの売上になるぐらいだから。
こうなると安価販売するには、ハンドメイドしか道がないわけですね。
このプロの方はフィギュアのサイズが「約20cm~」と大きめなのですが、パーツ分類してるから1パーツ1個として計算したら同じぐらいだなと思いました。
◆ミニフィギュアにした場合をシミュレーション
例えば、約4~5cmのミニフィギュアを20種10個づつ(ゴム&レジン)で作ると、約12万円の原価がかかります。
もちろん完売した場合の売上です。
250個(各125個)以下だと赤字ということになりますね。
先ほど掲載したプロの方でも12個以下だと赤字と書いてあったので、まぁ売る数(作る数)は10倍違いますが、ほぼ原価率が同じなんですね。
原価率は同じでも売値が8000円と500円で違うのでこうなります。
実際には10倍低くすると考えると、相場は800円だとわかります。
◆ハンドメイドのフィギュア相場は800円!?
これが業者抜きだと高額になるので、ワンフェスで売られている消しゴムの相場が3000円~というのも、別に不思議な話ではないのですよ。
1500円とかも業者抜きなら、かなりの安値とは思います。
ちなみにワンフェスやスーフェスでのゴム素材の最安値は500~800円でした。
レジンだと100~500円(無彩色)が最安値の相場でしたね。彩色版だと1000円が最安値。
こういうの1つ1つブース回ってリサーチしてますから。
価格と抜き方と大きさのサイズなども含めたトータルで資料として購入しています。
そこから自分の作品を作るさいのコストダウンを考えて製作にはいるわけです。
では、ハンドメイドの場合の相場価格を800円に設定してみるとどうでしょう?
正直、この利益だと助かります。(笑)
ただ体感としては、フィギュアに興味ない人は手を出しにくいかなという印象。
そこで600円にしてみます
原価と利益が同じになりましたよね?この金額だと次の新作をつくるさいに原価12万円をそのまま回せるわけです。
これが前回言った「回転率」という部分なわけです。
◆利益8万円の黒字は実は赤字と同じ事
趣味でやるぶんには、ここまで計算しなくていいのかもしれませんが、ビジネスとしてやっていくには、次の新作にたいしての予算が重要になります。
20種10個=400個(ゴム&彩色レジン)で12万円の原価なら、次の新作を作るさいも12万円の利益をつぎ込めば、回転するわけです。
この4年間で材料費が20%高騰したから、この価格名わけで、4年前の原価は約9万6千円ですからね。1個300~480円で回せたわけです。
◆1個100円のフィギュアのからくりとは?
単純にサイズ(質量)なんですね。小さくするか、薄くするか。
裏面を造形しないで、片面取りしてゴム粘土で裏を埋めてスプレーする。
これだけで、かなりコストが下げられるので当時は1個100円での販売が可能でした。
まぁ、100円でも利益としては厳しいのですが、可能かどうかだと可能ということで。もっと安くするならレジンも使わない。
ただ、これだと裏面造形ができないため、あまり質がよくない。あとは「硬質+軟質」なため素材ジャンルの分類ができていない。
◆素材ジャンルの分類とは?
素材フェチ層ですね。同じフィギュアでもゴム派とレジン派で分類されます。
ゴム派でも色で分類されますし、蓄光や温度変化など特殊素材とかでも分類される。
レジンの場合だと、無彩色か着色済かで分類されるわけです。
これは、同じ造形でも客層が全然違いますから。
こうした細分化は、数を売ってデータ収集して、はじめて明らかになる。
僕が最初に100円とか破格な値段で売ったのも、こうしたデータ収集をかねているというのもあります。
傾向と対策が見えてきたら、違う売り方をしたりして、1つ1つテストした後に、答えが見えてくるはずなのです。
全体的な販売手法は、まだ安定期に入ったとは言い難いでしょう。
購入者が納得して、なおかつ喜ばれる売り方というのをつねに模索している状態です。