現在放送中のアップル「Macbook」のCMに80年代のビックリマンシールが登場しております。
この画像(※アップルのCMよりキャプチャして引用)を見る限りでは、近年のシールではなく当時のシールであることがうかがえるわけですが、世界的にみてもシール文化が広まりつつあるのではないかと考えております。
そもそもZineenブランドも5年を目安に活動しておりまして、なぜ5年を区切りにしているかといいますと・・・
連続ストーリーシールの最長が2ヵ月に1回リリースしてきたビックリマンであり、その弾数が30弾(元祖含めても31弾)で一区切りしている部分にあるわけです。
多くの人はシールというものは「イラストが掲載されたシール」という認識でしかないですが、実際に日本における80年代シールブームがなぜ起こったのかという分析は、やはり仕組みにあるわけです。
◆仕組みが伝わるかでシールの人気は左右される
ビックリマンの凄さは、裏書を組みわせるとストーリーが構成される仕組みにあるわけです。そして貼られたら貼り返すというゲーム性(これは流行ってない)に関連させるために属性を分類した部分にあります。(素材別による格付けは受けた)
80年代は、ネクロスの要塞(RPG要素)もレスラー軍団(将棋要素)も同じですが、ゲーム性じたいは流行っていません。(広井王子氏じたいもネクロスのゲームじたい誰も遊ばないと最初からふんで制作していたと語っています)しかしなぜ人気が出たのか?
そこには世界観を伝えるための仕組みがあるわけです。
ネクロスは地図が重要であると、僕は言っているのですが、この地図を元にして冒険している疑似体験を味わえるわけです。
カード派とフィギュア派に分類されますが、カードではキャラクターの性格や物語がわかりますし、フィギュアでは登場人物を造形として認識できます。(※ここではシールもカードも同類で扱うこととする)
ちなみに90年代になると「カードダス文化」が出てきて長方形カードに、メンコのようなバトル的なゲーム性をとりいれはじめて現在のトレカにつながってきます。
海外ではシール文化以前から、長方形カード文化が主流です。
海外カード文化は歴史が古く(ビックリマンよりも古い)主にモンスターなどの絵柄が主流です。
今現在もカード文化は健在なので需要の土台はあると考えられます。(ただし裏書の説明などの構成は存在していません。)
話それましたが、レスラー軍団などはWシールという概念で物語を伝えています。
矢印マークは本来将棋をするためのものなので、ゲームとして後半の弾は成立していないため意味はなく、
物語を伝えるためにWシールで1枚目と2枚目の対比を使う表現が、四コマ漫画ならぬ2コマ漫画に近いといえます。
もしもこれがイラストのみで成立するのであれば【絵葉書】でもいいわけです。
シール文化における方程式として【企画力=仕組み】【絵柄=火力】になるわけで、企画力の中にシールで物語を伝えるなどのアイディアも含まれます。
しかしどれだけよいアイディアも、絵柄がマッチングしてなければ、火力として広まらないのです。
いわゆる影響力として、絵柄はタレントでいうところのビジュアルだったりするわけですね。
どちらか一方が優れていても、おそらくダメなのです。
この2つが一体となって、はじめて機動力が発動すると分析しています。
(※企画力とはストーリーだけではないです。仕組みです。勘違いしないように。)
◆80年代に海外でシール文化が流行らなかったわけ
「物語性」&「ダジャレ」が英語では伝えられない!まさにこれにつきると思います。
写真は海外版のビックリマンですが、日本語を英語にすると文字数が圧倒的に増えてしまいます。
またキャラクター名も、ローマ字にするだけだと意味が伝わりません。
例えば「火を避ける如来様」という概念もそうです。これを英語でキャラクター名を記載するとなると、絵柄が文字で埋め尽くされることでしょう。
「JO=助」で、お守りシールは助などの漢字が関連付けされているといった説明も必要になります。
しかし概念として他国には、こうした関連付けが存在しないわけです。ダジャレが通用しない。近くともヒップホップの韻を踏むリリックぐらいでしょうか?
これだと絵柄で選ばれるシールとしてしか反応が得られません。(貼るためのシールでしかない)だから本来の仕組みや仕掛けが発動しないので深さが伝わらないというわけですね。
このことからMacbookにシールとして貼られていることも理解できます。
貼るだけのシールであれば日本における「まじゃりんこシール」時代と同じなわけです。実は裏書とか、そういった仕組みや概念が重要だということがうかがえますね。
また、この現象と近いものがSNSだったりします。Twitterの文字数制限は日本以外は倍の数入力できるようになっていることをご存知でしょうか?
ここ数年でTwitterは日本でしか流行ってなかったのです。その理由として文字数制限があげられていまして、Twitterは英語の文字数の制限を増やしました。
しかし日本語のみ以前のまま文字数制限は解除されておりません。
日本語は省略しやすい
実際にTwitterの株を購入したり、社長のインタビュー動画などの資料を観たりして個人的に分析していますが、この文字数制限の上限を増やしたことで、Twitterの株は上昇していきました。いわゆる英語圏の人が反応したわけです。
まぁ最近はフェイクアカウントなどの削除問題で株価が下がったりしていますが、ここで伝えたいことは、「日本語は省略しやすい」ということです。
シールの裏書の文字数は、日本語で3行です。そこに意味を凝縮させて小説のように物語性や、キャラクター性を紹介するわけです。
日本語には「ダジャレ」という表現があり、これが今現在のシール文化にしろ、ギャグマンガなどにおける表現や、商品タイトル名などにも使用されています。
「ダジャレ」をオヤジギャグ程度の認識でしか見れていない人も多いかとおもいますが、日本における独自の言語概念というものが世界に伝わることは多いのです。
しかし「ダジャレ」はシステムなので、言葉や単語だけで伝えられるものではないのです。
「茶マ語」(おぼっちゃまくん)「お通語」(銀魂)に代表される漫画文化のギャグ的要素も「ダジャレ」でしかありません。
これを違う形で表現するにはどうすればいいのか?
おそらくそれが世界におけるシール文化のキーポイントになるのではないかと思ってます。
◆実際に世界でシールを販売してみた結果
Zineenブランドでは、これまで数ヵ国でシールを販売しております。
日本を含めて4ヵ国でしかないですが、国によっても反応は違いますし、そもそも上記で説明した問題点をまだクリアできていません。
欧米では完売しておりますが表記が日本語なものが多いので絵柄としての認識が大多数でしょう。
わざわざ翻訳してシールの裏書を読み解くとも思えませんしね。(笑)
「ダジャレ」の代用にはならない
上記画像は今度、香港で発売する新作「ハックマン」ですが、これはキャラクター名や裏書などが全て英語表記です。
もちろんこれは初歩的な対応策でしかないため、「ダジャレ」の代用にはなりません。しかし物語は多少伝わります。
ウィルスがミスして「ウィルス・ミス」(ウィルスミスのダジャレ)みたいなキャラもいますが、多分ダジャレとして理解してもらえないでしょう。(笑)
ちなみに物語はウィルスにより心がハックされるというものです。
ハックウィルスに侵されたペットの亀が、ハックマン(ダジャレを認識させるためハックとパックをかけています。)となり病原菌を撒き散らします。
それを対処していく物語です。絵柄や素材やカラーリングも、各種違うものにして反応を見る予定ですが、欧米とアジアでは戦略も反応も違うでしょう。