解説
第三弾オトギークでは太陽側にいた「平目社員」。
ところが、内戦勃発で崩壊した竜宮城の財宝を発見して企業家に昇進した姿が「平目社長」である。ヒラ社員が独立起業で出世して社長になったというダジャレもかかっているわけだ。
ノーマルシールのキャラクターが、数弾を得てヘッド化したりパワーアップするという手法は80年代当時のシールには、よくみられる表現である。こうした手法で当時の子供達に影響を与えた部分は、やはり「裏切り」という心理的な醜さをストーリーで語っていることであろう。
以前から言うように、俺がシールやカードなどの表現手法を守りたい理由の1つが、漫画や映画や小説というフォーマット以外で物語性を伝えられるところにある。こうした企画力を最初に出してきたのが、タンゴさん(ビックリマン作者)や、あだちさん(ネクロス作者)だと思うわけ。
ここらへんを熱く語る人が本当に少なくて不思議なのだけれど、オモチャというものはデザインだけではなく、そこにある企画力とデザイナーの親和性がプラスして総合評価で成立すると思うんだ。(相互作用による総合評価)後は売り方などのマーケティングも多少関係する。
リリースは早すぎてもダメだし、遅すぎてもダメ。例えば、「妖怪ウオッチ」の前に90年代「ヨウカイザー」という万歩計と妖怪を合体させたオモチャ(ゲーム)が存在した。キャラクターの絵柄も妖怪ウオッチとほぼ似たフォーマットだが、発売時期がポケモンと被って流行らなかったという経緯がある。
ポケモンを語るには、田尻智さん(ポケモン作者)の『クインティ』について語らないといけないのだけれど、実はポケモン自体のアイディアは80年代にはすでに存在しており、それを実現するには資金力や開発力が足りない(時代が早すぎる)ために、『クインティ』というゲームを先にリリースして資金力を稼いだというのは有名な話。
80年代当時の『クインティ』攻略本をいまだに所有しているが、そこには攻略法の前に、田尻さんがいかに凄いかが写真つきで解説されてたりする。このように当時の子供達は、ゲームをする前に製作者の熱意を感じ、そして理解することが可能であった。
こういうことを語り繋いでいくことは非常に大切だ。だから俺は語るし、書くし、解説をするし、作品を制作し続けているのである。